TWO BOOKS

白黒写真が僕を好きな理由

白黒フィルムの終わりの始まり/ Hill of Marchen

(”Hill of Marchen” @Hokkaido Japan / Yohei Maeda Photography )

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ついにこの日がやってきてしまった。

富士フィルムが白黒フィルムを撤退することを決めた。今年の10月の出荷を最後に停止する。80年の歴史に終止符を打つのだ。

www3.nhk.or.jp

どれだけの写真を撮っただろうか。400がなくってからは、Kodakを利用することが多くなったが、それでもネオパンで撮影した世界の旅は自分の写真の原点だ。

(”selfportrait” @Long island USAYohei Maeda Photography)

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学生時代に写真を撮るために世界を旅した。出発前日、NYの友人宅で撮影した。全身黒尽くめの憧れの写真家を真似して黒服を好んで着ていた。海外生活が長く、伸びきったロン毛だった。

フィルムを箱から剥き出して、白黒フィルムをバックパックに詰め込んだ。いつまでも自分の写真の原点。富士のフィルムの空箱と共に。 

ありがとう、我が青春の色、ネオパン。

 

yoheimaeda.hatenablog.com

以前もフィルム事業撤退の話題を書いた。デジャブではない。

時代が変わろうとしている。

 

Maeda

写真を撮らない宮崎駿が描いた『毛虫のボロ』/ horse2

(”horse2” @Hokkaido Japan / Yohei Maeda Photography )

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お題「最近気になったニュース」

最近気になったニュースはこれ。引退するする詐欺で有名なw、宮﨑駿監督の記事。

風立ちぬ」以降、初めて手がけた作品『毛虫のボロ』が3月21日に三鷹の森美術家院の映像展示室「土星座」での公開が決まったというニュースだ。

www.oricon.co.jp

宮崎駿は、写真をみない。写真なんか撮ってない。

宮崎駿という人は才能ありますか?」

『毛虫のボロ』のニュースに少しでも興味をもったのであれば、ぜひとも鈴木敏夫プロデューサーの下記動画を合わせて観てみて欲しい。よりいっそう『毛虫のボロ』を観に行きたくなる。

www.youtube.com

『才能とは記憶力である。』

  • 何となく見ているんじゃない。要素で覚えていく。20から30くらいの要素で覚えていく。
  • なんとなく努力しても成長するわけではない。アニメーターで優れた人でも伸び悩んであときには、なにかを観てくると、また伸び伸びと画を書き始めることがある。
  • 宮崎駿は、写真をみない。写真なんか撮ってない。実際に目にした何かを観察して、それを記憶する。そして思い出しながら自分の景色にしていく。
  • 映像に関しての記憶力だけが突出して凄い。多分高校1年から4年くらいの間自分で毎日写生して鍛えた事が今日に至るまでの宮崎駿の強みだと思う。
  • 観察・記憶力。”頭が良い”とかいう言葉の意味は良くわからないが、「”頭の良さ”とは、1記憶力 2根気(途中であきらめない)3判断力 である。」 と書籍で読んだことがある。これらの要素が優れている人のことを”頭が良い”というんじゃないか。宮﨑駿は1記憶力 が優れているんだろう。

観察から始まるオリジナリティ

  • 宮崎駿は映画初監督38歳。それまでずっと誰かの手伝いをしていた。
  • 才能とは要素を抽出すること。それに付け出すこと。これがオリジナリティと呼ばれるものを創りだす。
  • 実際に観て覚えている要素+分からなくて付け足したとこ=オリジナリティ。

完成した作品は、上映時間14分20秒の短編アニメーション。草むらのなか、夜が明ける前に卵からかえった毛虫のボロ。初めて見る朝陽はとてもまぶしくて、世界はおいしそうな空気にあふれていた。ボロはボロギクの根元に降り立ち、毛虫の仲間たちや外敵が行き来する世界へと踏み出す物語。

長年、”虫の眼から見た世界”という企画を温めていたらしい。

記憶力に優れた才能をもった宮崎駿が長い年月をかけて観察した記憶と、彼の付け足しが産み出したオリジナリティ、『毛虫のボロ』を観に行こう。

 

Maeda

【HOME Project Magnum Photos】あなたのHOMEは何ですか?/ Kaya

(”Kaya” @Gifu JapanYohei Maeda Photography)

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*Title「Kaya(蚊帳)」:祖父母と同居して育った。おじいちゃんおばあちゃんの住む母屋で、小さい頃はよく一緒に寝た。夏になると蚊帳をつって寝た。隣が竹やぶでとにかく蚊の多い家だった。蚊帳で囲まれた2つの敷布団は何かに守られている秘密基地のようでワクワクした。大人になって、おばあちゃんが痴呆の傾向がみられ始めてきた。確実に何かが変わってきた。秘密基地の時と変わらぬ場所で、変わり始めた2人。私のHOME。

 

HOME。あなたのHOMEは何ですか?

home-magnum.com

Magnum Photosが世界中で2018年3月から、世界7都市で写真展を開催する。マグナム・フォトから写真家16名が参加してHOMEという”大喜利”に取り組むFUJIFILMとの共同プロジェクトだ。

ニューヨーク、ロンドン、パリ、東京、ケルン、イタリア、中国と世界7都市を巡る。東京の日時、場所は以下だ。実際のプリントには本にはない魅力が確実に存在する。もしも興味あれば足を運んでみてはいかがだろうか。

  • DATE:2018年7月21日(土)~30日(月)
  • VENUE:代官山ヒルサイドテラス 
  • ADDRESS:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町18-8

www.youtube.com

HOME by Hiroji Kubota(久保田博二)

マグナムに日本から唯一在籍する写真家、Hiroji Kubota(久保田博二)も今回のプロジェクトに参加している。

Hiroji Kubota - HOME Project Magnum Photos

www.youtube.com

”美しいでしょ?普通のプリントなんかと違うでしょう?”

”いくらデジタルのカメラが凄くても過去は撮れない。やっぱり過去を撮ってあるのは,

これが一番僕の宝物”

”この55年間写真のことしかやらなかった”

"55年間の写真、集大成の本"

”これからですよ、これからです。だから写真が僕のすべてなんです。”

 

写真をみせたり、説明したりするときの嬉しそうで、誇らしげで、楽しそうな顔。最近実家に帰ると5歳、3歳の甥っ子と遊ぶ機会が多い。まさにそれと同じような顔をして幼稚園でつくった節分のお面を見せてくれた。子どものように純粋な様。

合理的でも、経済的でもない。誰かと比較するでもない。そんなものをすべて超越した超個人的内発的動機。だから最高で、かつ、美しい。その人個人であり、その生きてきた人生そのもの。

 

そんな彼の撮ったHOMEをみることができる。

HOME by エリオット・アーウィット

以前ブログでも書いたエリオット・アーウィットもHOMEに参画している。

yoheimaeda.hatenablog.com

Elliot Erwitt - HOME Project Magnum Photos

www.youtube.com

”重要なものは被写体ではない、被写体をどう扱うかなんだ”

”写真はお勧めだよ、だって楽しいし、誰も傷つけないし”

”キャプションには写真を言葉で説明する大切な役目がある”(⇒余談:なるほど。どうしても写真だけで伝わってほしい。説明はしたくない。と思っている節がある自分を少し反省した。だから、冒頭のKaya(蚊帳)にも今回はキャプションをいれてみた。)

 

自分が人生を通して創ってきた作品達に囲まれた家で、HOMEという題材に挑戦している。正直、高齢の彼の作品が本当に私の好きだった作品かどうか分からない。それでも彼の写真に対する純粋さは動画から伝わってくる。

 

楽しみだ。

HOME。あなたのHOMEは何ですか?

HOME。

世界の写真家が切り撮った”大喜利”「HOME」を観に行こう。

 

Maeda  

お題「思い出の味」

風をあつめた幸せな結末が素晴らしい / cusco3

(”cusco3” @Cusco PeruYohei Maeda Photography)

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とにもかくにも、この動画の面白さよ。

グループ・サウンズの曲が好きでなかった。フォークは悪く言うとリズムがつまんない。当時の流行り、イケているとされていたものを否定して新しい事へ挑戦した。日本語とロックサウンドを融合させる試みに挑戦した。そんなはっぴいえんどの動画だ。

www.youtube.com

 

”米国のラジオ音楽をきける環境で育った。聞いて育った人は皆ミュージシャンになるんですよ”

”バッファーロースプリング・フィールドが分かった。”

”音をどうやってつくるか、実はしらなかった。ただ、レコードをいっぱい聞いて育ってきた。”

”研究してた。世界に通用するかどうか、そんな事は考えずに、とにかく研究してた。日本語のもつ価値、意味を。すこしずつ試行錯誤していくなかでみえてきたのが風街ろまん。”

はいからはくち

”はいからはくち”は、ライブでかならず演奏する代表曲の一曲。すもうの太鼓から始まる一曲。日本の文化的背景を覚悟して聴けといわんばかりの一曲。

「ハイカラ イズ ビューティフル」で始まる曲だが、そもそも”はいからはくち”とは2つの意味をもたせた造語とのこと。1.ハイカラな白痴(海外のものをばかりとりいれんとする自虐的な批判)。そして、2.肺から吐く血(すごく苦しい ぼくは肺から血を吐くくらい苦しい思い出詞を書いている)という意味あいをもたせた言葉とのことだ。面白いなー。

風街の在り処

風をあつめての歌詞。

”説明なんかいらなかった。同じ風景をみていたので。東京の風がふいている世界観。”

”そこには少年時代の原風景がえがかれている。子どもたちが遊んでいた無くなる前の広場はどこにいったかというと、子どもの記憶の中に残っている。その記憶の街をパノラマのように集めたら、一つの架空の街ができあがる。それが風街。”

 ”まず路面電車がなくなった。赤坂見附の路線の複雑さ。その景色はもうない。”

”道路や人の繋がりを変えた。クラス会もなくなった。心の何割かを喪失した。その頃の東京が好きだった。風が運んでくるかおりが。”

 

作詞をした松本さんの生家や友達の家は、オリンピックで立ち退きになった。松本の路面電車への想いは、アルバムジャケットに描かれた路面電車のジャケットにも色濃くでている。都電の画を表紙にしたい、という強い願いを押し通して、都電の画が描かれた内ジャケットに仕上がっている。

日本語の歌詞で全世界に通用すると思うか?

1971年11月20日に発表。ミリオンはおろか、1万枚も売れなかった。

その後、細野さんのYMOや大滝さんのA LONG VACATIONが売れて、はっぴいえんどが再注目され始めた。最終的には、映画ロスト・イン・トランスレーションの曲として使われる事で、世界中へ広まった。日本語のままそれを歌う外国の人がYoutubeで登場し始めた。

”ロスとかNYでアメリカ人の若いのが海外の人が風をあつめてを日本語でうたってくれるんだ。”

”英語でつくってたら、こんなグレードの高いものはできなかっただろうな。"

”日本語でやるかと細野さんと論争していた時に、じゃあ日本語の歌詞で全世界に通用すると思うか? ある確率もある、それは否定できない。っていった。どんな小さな確率でも追求しておくと、あとで夢がかなうということはあるかもしれない。 ” 

それでぼくも風をあつめて

”この当時で8チャンネルのテープレコーダーしかなかった。今マルチも残ってる。じゃあミックスできるじゃないとかと思うよね。ただ、全然ミックスする必要はない。やり直す必要はまったくないな。”

”学校の休み時間になると、校庭にでるでしょ。一緒に集まって遊ぶ時もあるときも、遊ばない時もあるでしょ。それに似たようなものかと思ったときがある。”

”答えはない。いまだに色々はっぴいえんどについてきいてくるでしょ。それが答えっていうか。当時苦労して背伸びしてまでもとにかくいい音楽をつくりたいというのに一生懸命だった。”

 

自分も持っているが、リアルタイムでない自分たち世代や、さらに若い世代も持つべき一枚だと思う。アップルミュージックとかで聴けません。

アップルミュージックで聴くならばこちらをどうぞ。

素晴らしい作品は素晴らしい。

良いものには確かにサムシングエルス(他の何か)があるんだと思う。音楽も写真もなんでもそう。


Maeda  

人生の喫茶店 / sea bathing

(”sea bathing” @Cebu PhillipinesYohei Maeda Photography)

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奇跡のような喫茶店。

人生の面白さがふんだんに詰まった喫茶店を知っている。

 

もともと山奥で宿を旦那さんと一緒に営んでいた。その宿を受渡して始めたのがこの喫茶店だ。旦那さんは数年前になくなり、今は奥様一人で切り盛りしている。

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店主奥様の手づくりのケーキ。

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ハイセンスな欧米とアジアの調度品達

宿経営する20余年、ご主人が西洋から買い付けたカップアンドソーサーの数々。当時宿に出入りしていた芸術家の作品達が並んでいる。アメリカから取り寄せたステンドグラスも当たり前のように存在している。と思えば、座ってる椅子やテーブルは香港で作ってもらった家具達であり、建物も地元の建築家と香港で活躍するアメリカ人デザイナーが設計したものらしい。

西洋の洗練された風合いと、アジアの落ち着いた色味。音色は違えど、どちらも成熟された美しさと言う名の”品”をまとっており、それらが一つの空間でおりなすセンスという名の品は唯一無二な空気感を漂わせる。

 

ビートルズが描かれたwedgewood の限定カップアンドソーサーでコーヒーがでてきた。「若いから楽しいでしょ」と。訪れる度に違う器が出てくる。

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脱サラから山奥での宿経営へ

オーナーの旦那さんは45歳の時に脱サラをして、山奥にペンション経営へと舵をきった。当時誰も知らないような場所だったが、地元の名士から「良い土地あるよ。」との話をもらい、その勢いそのままに宿を作って経営し始めた。

温泉が流れでる川があり、湯量は豊富な自然あふれる場所。温泉流れる川につかって夜空を眺めると、そこには今にもこぼれてこないかといわんばかりの大量の星があったと。泊まりに来るお客さんを連れてはそんな秘密の場所へ行ったりしたらしい。

 

手探り多き宿の立ち上げだったものの、料理も運営も夫婦それぞれ気持ちよく努力する事で多くの常連が通い始める事となる。東京、大阪の超大手企業の重役家族がお忍びで。はたまた、様々な芸術家が創作意欲湧く”ねぐら”として長期滞在する宿となっていった。岐阜公園内に記念美術館がある加藤東一先生もその一人だったらしい。また、ガラス工芸をつくる小谷真三先生もこの場所が好きでガラス工房をとなりに作るほどのお気に入りだったらしい。

そんな当時訪れてきていた芸術家達の作品も店内を彩っているのだ。

 

加藤東一先生の絵画。

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小谷真三先生の作品。

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喫茶店建設時、アメリカで骨董商をしてる友人から素敵なステンドグラスがあると連絡がくる。そのステンドグラスを設えるためにと、窓も完成させずに待った。ステンドグラスと一緒にコンテナで届いた西洋の品物達。店先のランプと鉢植えもその一つとして今も現役で活躍中だ。

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宿経営から地元で喫茶店をつくることに

宿経営がうまくいっている最中、またまた突如として地元の町へと夫婦で帰ってくる決断をする。元気なうちに引き継ぐべきだとのご主人独断の決断だったとのこと。宿は当時手伝ってくれていた若者へ引き継いだ。ご主人が72歳の頃だった。

 

「年齢が一回り下の奥さんが自分が居なくなっても楽しめる喫茶店でもあればいいんじゃないか。」くらいの話から、都会すぎず、自然の綺麗な静かな場所を不動産屋さんに探してもらう。

目の前に咲く桜並木が決めてだったとのこと。店舗は地元の建築家にデザインしてもらいつつも、香港在住の有名アメリカ人デザイナーに監修してもらった。良きものへせんとのこだわりから、当初予定してなかった部屋や階段が追加され、あれよあれよと想定を遥かに超えた大きなお家が出来上がっていった。 

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人生の喫茶店、欧亜 

アジアから調達した家具達と、欧米の調度品で飾られた店。欧亜。(名前も秀逸すぎる。)夫との思い出という名のプライスレスな存在なのだ。”良いもの”とは人の生きざまが寄り添っているんだなと改めて感じる、そんな空間だ。

奥様の、奥様とご主人の生き様が一つ一つに詰まった人生の喫茶店。

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Maeda

 お題「帰省」 

 

 

 

「2017年撮ってよかったもの」を書く / Hello Goodbye

(”Hello Goodbye” @Cebu Phillipines Yohei Maeda Photography)

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フィリピンのAirbnbで借りた一軒家のシャワー室。見上げた2つの窓から見えた異なる空。左はガラス張りで、右は網のかかった窓。同じ空でも全く異なる対象的な光の差し込み具合を見た瞬間、白黒フィルターのかかった自分の目を通して綺麗な対象的な風景を視た。同じ空、同じ光、同じものでも見方一つで世界は変わる。

 

 (”Mr.-Alexelis4” @Cebu Phillipines Yohei Maeda Photography)

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大人と子どもの境目は分からない。日本では20歳を成人といい、アメリカでは18歳が成人認定だ。何処かの部族ならば更に早い。国や属する団体で大人になるタイミングは変わる。50歳間近の友人のAndrewさん。全てから解き放たれたように海上に浮かぶその様は、まさに子供そのものだった。そんな彼は今年会社を去り、新たな職場へ旅だった。Good Luck.

 

 (”politicians @Cebu Phillipines Yohei Maeda Photography)

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政治家のポスターは万国共通で嘘くさいくらいの満面の笑みのポスターだ。笑顔が悪いわけではない。ただし、その奥にある本物をちゃんと見極めねばならない。良いものも悪いもの沢山ある世の中、騙されるなよ。審美眼を持て。

ウーマン村本「発言は正義、沈黙は悪」時事ネタ漫才や冠番組降板の真相を大演説|ウーマンラッシュアワー村本大輔の土曜The NIGHT #73|AbemaSPECIAL【AbemaTV】 - YouTube
 

 (”2017 @Gifu Japan Yohei Maeda Photography)

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2017年、父親が癌だと宣告された。ここ数年、「健康診断を両親に行くべきだ。行かせるから。贈るから。」と言い続けてたのに、実行できてなかった自分を悔やむ。癌だからすぐに命を落とすわけでは決して無い。癌と共に生きる時代なのだ。とはいえ、早く判明していればそれに越したことはない。よく祖父母が座っていた実家の家先の椅子に腰掛ける父を撮る。

がんを告知されたら読む本―専門医が、がん患者にこれだけは言っておきたい“がん"の話

 

 (”2016 in 2017 @Tokyo Japan Yohei Maeda Photography)

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2017年に街角でみつけた2016。2016”年”を意味してないかもしれないが、おそらくは2016年のことだろう。時は流れている。これを書いているこの瞬間にも”今”は、”さっき”になり、”昨日”となり、”2017年”となる。2017年も早かったけれど、振り返ると沢山の変化があった。

 

Goodbye2017年、Hello2018年。

www.youtube.com

 

Maeda 

お題「2017年を振り返る」

Imacon Hasselblad Flextightでフィルム写真をスキャンする休日 / afternoon nap

(”afternoon nap” @Tokyo Japan Yohei Maeda Photography)

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フィルム写真をネガスキャナーでデジタル化する。なんて面倒な作業だ。

時代錯誤な方法だとは自負している。お金も時間もかかる作業であり、まったくオススメしているわけでもない。それでも、この溜まってきた写真フィルムをせっせと画として生み出す作業は楽しいのだ。

 

私の場合は、作品制作を以下のフローで楽しんでいる(楽しむ計画だ)。

  1. 写真を撮りためる。
  2. ある程度フィルムが溜まったら現像へ依頼する。
  3. フィルムがあがってきたら、そのフィルムをみながらデジタル化する。
  4. そのネガの塊をもって暗室へこもる(将来のお楽しみ)
  5. 集大成の写真集を制作する(将来のお楽しみ)
  6. 個展を開催する(将来のお楽しみ)

今回は、その中での”3.フィルムがあがってきたら、そのフィルムをみながらデジタル化する。” についてのお話だ。

Flextightという私の相棒ネガスキャナー

でかい。

そう、こいつは無駄に大きくて、無骨だ。私の写真活動に欠かせないFlextightとの出会いは、自分がアメリカにいた大学時代にさかのぼる。自分が写真に没頭しまくっていた学生時代は、まさにデジタル写真が台頭し、学生でも基本デジタルカメラでデジタル出力した写真を制作していた。

フィルムを使って作品を作るのは時間もお金もかかる。技術の進化が追いつき、デジタル写真のクオリティも良くなっていた。デジタルな技術を習得した方が将来の仕事、スキルにも繋がりやすかった。皆こぞってデジタルラボでデジタルな作業をこなす中。デジタルラボの片隅にあったこの無骨な写真フィルムスキャナーに恋をした日本人男子が居たのだった。

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高精細フィルムスキャナー、Imacon Hasselblad Flextight : Flextight Precision/Precision II

すでに廃版の代物だ。

www.nationalphoto.co.jp

大学を卒業し、社会人になって一番最初に購入すると決めてたこのスキャナーは、北欧の写真家から譲ってもらったものだ。ネットで調べ、状態が最高で、かつ、安く購入できるものを見つけた。(とはいえ、相当な額だった。カメラなんて比ではないw)

個人輸入したものの、当時のマックですら接続できず、こいつ専用iMac秋葉原で見つけて連れて帰ってきた。この個性的な相棒は、自らの相棒すらも当然のようにより好みする。

それでも良き決断をしたと思っている。なぜならば、今なおこのやんちゃな相棒はしっかり仕事をし続けてくれるからだ。 

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撮りためたフィルムと戯れる午後

時間を作ってゆっくりじっくりスキャンをするたまの休日は最高だ。忙しく動きまわる平日とは意図的に真逆の時間を過ごす。大きな機械にゆっくりと取り込まれていくフィルムと音。時間を更にゆっくりさせる。

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大事なのは変わることと変わらないこと

なんかの歌詞だったような気がする。

自分は変化が好きだ。新しい事を知ることが楽しい。新しい技術や話題にいち早く乗りたがる。けれど、写真に関してはあえて?自分が見出した楽しいと思ったスタイルを頑なにやり続けている。

フィルムもなくなるかもしれないし、現像代も更に高くなっていくかもしれないし、フィルムカメラも完全に淘汰される日々が訪れるかもしれない。けれども、現像するまで、スキャンするまで、現像するまでわからない状態での写真撮影はどうしても楽しいのだ。

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デジタルな画を制作することは写真制作の途中でしかないと考えている。

ただ、それでも一時的に画として楽しむ術を与えてくれるスキャニングは、自分の写真制作への情熱を持続可能なものへと多分にサポートしてくれている。

 

フィルムという色褪せない媒体で作品を保持する。まとまった時間のできるもう少し年老いた頃に、暗室に篭ってニヤニヤしながら焼きたいという将来の想いをはせながら。

 

今から楽しみだ。

 

Maeda

*私の相棒のFlextightでスキャンした作品達が閲覧できます。もしよければ覗いてやって下さい。⇒Yohei Maeda Photography