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TWO BOOKS

白黒写真が僕を好きな理由

”見るもの全てが写真になる” by ソール・ライター / still

 (”still” @Shiga JapanYohei Maeda Photography)

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ソール・ライター (Saul Leiter) という写真家をご存知だろうか?

「先日雨が降っていて雨粒を撮っていたら、カメラが変になって露出が足りなくなった。ところが露出不足の方が明るいのよりいいんだ。だからつまり・・・世の中すべて写真に適さぬものはない。すべては写真だ。今日の世界ではほとんどすべてが写真だ」

今年のGWには遠出する予定もさることながら、特別予定を入れてはないが、一つだけ決めている事がある。ソール・ライター展に行くことだ。ちょうどGWを挟んだ期間に渋谷にて個展がある。

www.bunkamura.co.jp

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開催期間

2017/4/29(土・祝)-6/25(日)
*5/9(火)、6/6(火)のみ休館
開館時間

10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場
Bunkamura ザ・ミュージアム

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*今週のお題ゴールデンウィーク2017」

”見るもの全てが写真になる” by ソール・ライター 

ソール・ライター(Saul Leiter)。彼は自分を売り込むことを嫌った。一時期NYの超有名ファッション誌の表紙を撮影するような写真家として輝かしい仕事をしていたが、突如世の中からひっそりと消えていった。以降もニューヨークの町並みを闊歩しながら写真を個人的に撮影し続けた。2006年、それまで封印されていた個人的な写真などをまとめた初の作品集が出版されると、80歳を超えた”巨匠の再発見”は世界中で熱狂的に迎えられた。写真を発表もせず、貴重な作品として注目を浴び始めても、何も大したことないと彼は言う。

「写真というものをそれなりに知っていればわかるんだ。本当に新しいものなどない。」 

残念ながら、Bunkamuraへ会期中行くことが出来ない。もしくは、既に既づいた時にはもう終わってしまっていた。なんて人には、彼のドキュメンタリー映画を観て欲しいと思う。iTunesでレンタルすれば300円で視聴できる。

映画の冒頭で、彼について話す関係者が話す言葉の中がある。 ”多くの者より抽象的で、一部の者より構成的。そして大半の者より魂がある。”と。映画を観れば、彼の生き方を観れば、とても良く言い当てている表現だと腹落ちすることだと思う。

急がない人生で見つけた13のこと 

映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」の中では、日本語題名そのものが表すように、”13のこと”別にチャプター分けされている。彼の日常を監督自身が密着して撮影し、その中で視えてきたソール・ライターの”こと”、”秘訣”を描き撮った作品だ。

映画のシーンにも出てくるが、ソールは、「もしも撮影されたものが私が納得いく内容でなかったら公開させない。撮影する許可はしたが公開する許可はまだしてない。」と、映画自体に彼が納得いかなければ承認しないとアーティストらしい頑固さを見せる。しかし、後半のシーンでソールは笑いながら(おそらく)編集完了した映画を観て笑いながら「いいね。」と承諾しているシーンがある。つまり、”13のこと”はソールからみてもOKと承認した”切り口”なのだ。

急がない人生で見つけた13のこと
  1. Cameras カメラ
  2. Boxes of Colour 箱入りのカラー
  3. A Legacy 遺す
  4. The Way to God 神に至る道
  5. Taking Photography Seriously 写真を本気で
  6. Staying Still じっとしている
  7. Out Looking for Photographs 写真を探しに 
  8. Doing Something Good 良い仕事を
  9. Pleasant Coufusion 快い混乱
  10. Tickling Your Left Ear 左耳をくすぐる
  11. Sharing Art 芸術を分かちあう 
  12. No Reason to Rush 急ぐ理由はない
  13. A Search for Beauty 美を求めて

13. A Search for Beauty 美を求めて

上記”13のこと”の中でも圧倒的に共感めいた彼の言葉をそのまま書き出して引用する。良く分かるというには痴がましすぎるだろうが、言わんとする意図に強烈な親近感を感じる。

「古風なことをいわせてもらえば、私は美の追求というものを信じている。世の中の美しいものに喜びを感じる気持ちを。それに言い訳なんか要らない。美しさの好みは人それぞれで。ルノワールは甘ったれすぎて嫌だという人もいる。でも私は否定する気にならない。美を追い求めるのは良いことだと見る人生観を、そう信じている。それで良いんだと。世の中には魅力的でないものに惹きつけられる人もいる。惨めなもの浅ましいものに惹かれる人もいる。よく覚えてないが最近誰かが言っていた。幸福は馬鹿げた概念だと。兄にもかつて言われた。”お前はどうかしるよ。幸福の追求を大切だと思うなんて。”言い方は覚えてないが。”幸福は人生の要じゃない。大切なのはもっと他の事だ。”」 

写真集 ”SAUL LEITER Early Color"

彼の数少ない写真集。彼の初期のカラー写真がこの中に収録されている。おそらく、彼が集めた”美”のほんの一部分だろう。映画にあるように、雑な写真管理と、公へ発表する意図もなかったスタンスを鑑みれば。

それでも1人の美の追求する者の軌跡に違いない。だからこそ、人生が詰まった、魂の入った写真集の価値は計り知れない。保持すべき素晴らしい写真集の一つだと思うのだ。

 

Maeda