(”once in a summer” @Gifu Japan/ Yohei Maeda Photography )
2020年6月21日(日)は父の日らしい。ブログにすることで、夏の思い出という名の父への感謝を綴ってみる。
夏休みは車で下呂温泉へいく。帰りには、山間に流れる川を整えた、ほぼ自然そのままのニジマス釣り場に寄ってから帰る。これがうちの夏休みの恒例行事だった。
自分が夏が好きな理由であり、海より川が好きな理由であり、今でも青々した緑と夏の高い空の下で流れる小さな川を見る度に、飛び込みたくなる理由なのだ。
幼き頃の経験から、脈々と染み込まれた衝動なのだといつも思う。
嘘でも誇張でもなく、小さな頃は、この車で向かう下呂温泉こそが世界で一番遠い場所だと思っていた。ドライブスルーに立ち止まったりしながら、ゆっくり向かった約2時間の道のりこそが、楽しくて永遠に続くような時間だったのだ。それと同じように、父親が世界で一番背が高くて、力のある人だと思っていた。冷静に考えればもっと遠い場所にも連れて行ってもらっていたし、父より大きな人とも何度もすれ違っていたはずなのに。
大人になった今、そんな話をすると父は「そうか、そうか。」と言いながらニコニコ笑う。
今では、自分で車を運転して行けるし、自分でお金を払って泊まることもできる。自分で圧倒的に遠い海外へもいける。自分の方が高いとこへも手が届くし、重いものも動かせる。
それでも、あの幼き頃の感覚はふとした時に戻ってくる。大人になると見えなくなる座敷わらしかのごとく、居ないようででそこには居る。昔ほど鮮明に見えないけれど、日に日に薄れていくけれど、あの、”お父さんは世界で一番背の高い人”という感覚は、大人の自分をすっと横切るのだ。
こうやって大きくしてもらった今に、父に、感謝なのだ。
そんな思い出を、父の日に贈ってみるのだ。
Maeda
今週のお題「お父さん」