TWO BOOKS

白黒写真が僕を好きな理由

"世界一美しい本をつくる男" と写真集を買う理由 / Chicago

(”picaso” @Chicago USA Yohei Maeda Photography)

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「上質な本」とはどういう本だろう?電子書籍が少しずつ幅を利かす昨今、"モノ"として本を所有する意味を考える。

昨今、モノを所有しないミニマルな生き方がクールとされつつある。実際、自分も昔に比べて物欲は減った。

本を読むことは好きだが、本を買う時にはまずKindle版の電子書籍を選択する。電子版がない場合は、「なんで電子版無いんだ!」と心の中で1人憤慨しながら、泣く泣くリアルな本を買う。持ち運びが不便だし(読みたい時読めない)、家の保管場所に困るからだ。本の中身が知りたいのであって、"モノ"として所有したい訳では全くない。つまり、書籍、本は基本買いたくない派だ。

そんなスタンスの自分でも、写真集は"モノ"として所有したいと思うのだ。そんな、本を所有するという事について考えさせられる映画を紹介しようと思う。

映画:世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅

世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅- (字幕版) G ゲレオン・ヴェツェル & ヨルグ・アドルフ を観た。

映画『世界一美しい本を作る男〜シュタイデルとの旅〜』公式サイト 

世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅- (字幕版)

世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅- (字幕版)

  • ゲレオン・ヴェツェル & ヨルグ・アドルフ
  • ドキュメンタリー

シュタイデル社 をご存知だろうか?

世界中の有名な写真家、アーティストを魅了しつづけている製本屋さんだ。シュタイデルさんが生まれ育った故郷で、こだわり抜いた本を製本し続けている。世界中の写真家から彼に製本してほしいと、彼へのオファーが殺到する。世界中から引っ張りだこにも関わらず、彼がシンプルに本作りに興味があり、素直に良い作品に仕上げたいという気持ちが良く伝わってくる。そんなシュタイデルさんの頑固さとこだわりが全編を通じて垣間見れる映画だ。

 

「本にはフォーマットがあって、良い本とはそれぞれの写真にきちんと合っている本だ。」

 

「その本に個性が感じられるか。紙の種類も本に合わせて考え、写真に合わせてインキの色選びから製本にまでこだわる。それで独創的な本が生まれるんだ。」

 

「私の作る本は工業製品ではない。作品の分身で、芸術家のアイディアを反映している。そして、そういうアイディアは確かな技術を持つプロの手で具現化される。」

写真集を買う理由

シュタイデルさんが創り出す本のように、アーティストが創り出す素晴らしい写真と、こだわりのつまった最高の製本であれば、モノとして本を購入したいと思わせてくれる。

彼の言葉にあるように、写真集という本は、単なる工業製品ではない作品の分身のように感じるから、私は写真集を買いたいと思うのだろう。

歳をとるにつれ、価値あるモノ、コト、にしかだんだんと購入意欲が湧かなくなってきた。お金を使いたくないわけではない、が、どうせ使うなら購入価値の高い商品へお金を支払いたい。

「上質な本」とは?

冒頭の質問に戻る。「上質な本」とはどういう本だろう?

 

電子書籍が少しずつ幅を利かす昨今、モノとしての本を所有する意味を考える事で、その答えが少し見える気がする。

上質な本とは、想いの入ったアーティストが産みだす作品(コンテンツ)と、その想いを汲みえる最適なフォーマットと本づくりに愛を込めれる製本屋さんでなし得るものなのだろう。そういう意味でシュタイデルさんは上質な本を作るのだろう。

私が将来出版する本も上質な本であって欲しい。。そんな事を考える映画だった。

yoheimaeda.hatenablog.com

 

 Maeda