(”afternoon nap” @Tokyo Japan / Yohei Maeda Photography)
フィルム写真をネガスキャナーでデジタル化する。なんて面倒な作業だ。
時代錯誤な方法だとは自負している。お金も時間もかかる作業であり、まったくオススメしているわけでもない。それでも、この溜まってきた写真フィルムをせっせと画として生み出す作業は楽しいのだ。
私の場合は、作品制作を以下のフローで楽しんでいる(楽しむ計画だ)。
- 写真を撮りためる。
- ある程度フィルムが溜まったら現像へ依頼する。
- フィルムがあがってきたら、そのフィルムをみながらデジタル化する。
- そのネガの塊をもって暗室へこもる(将来のお楽しみ)
- 集大成の写真集を制作する(将来のお楽しみ)
- 個展を開催する(将来のお楽しみ)
今回は、その中での”3.フィルムがあがってきたら、そのフィルムをみながらデジタル化する。” についてのお話だ。
Flextightという私の相棒ネガスキャナー
でかい。
そう、こいつは無駄に大きくて、無骨だ。私の写真活動に欠かせないFlextightとの出会いは、自分がアメリカにいた大学時代にさかのぼる。自分が写真に没頭しまくっていた学生時代は、まさにデジタル写真が台頭し、学生でも基本デジタルカメラでデジタル出力した写真を制作していた。
フィルムを使って作品を作るのは時間もお金もかかる。技術の進化が追いつき、デジタル写真のクオリティも良くなっていた。デジタルな技術を習得した方が将来の仕事、スキルにも繋がりやすかった。皆こぞってデジタルラボでデジタルな作業をこなす中。デジタルラボの片隅にあったこの無骨な写真フィルムスキャナーに恋をした日本人男子が居たのだった。
高精細フィルムスキャナー、Imacon Hasselblad Flextight : Flextight Precision/Precision II
すでに廃版の代物だ。
大学を卒業し、社会人になって一番最初に購入すると決めてたこのスキャナーは、北欧の写真家から譲ってもらったものだ。ネットで調べ、状態が最高で、かつ、安く購入できるものを見つけた。(とはいえ、相当な額だった。カメラなんて比ではないw)
個人輸入したものの、当時のマックですら接続できず、こいつ専用iMacを秋葉原で見つけて連れて帰ってきた。この個性的な相棒は、自らの相棒すらも当然のようにより好みする。
それでも良き決断をしたと思っている。なぜならば、今なおこのやんちゃな相棒はしっかり仕事をし続けてくれるからだ。
撮りためたフィルムと戯れる午後
時間を作ってゆっくりじっくりスキャンをするたまの休日は最高だ。忙しく動きまわる平日とは意図的に真逆の時間を過ごす。大きな機械にゆっくりと取り込まれていくフィルムと音。時間を更にゆっくりさせる。
大事なのは変わることと変わらないこと
なんかの歌詞だったような気がする。
自分は変化が好きだ。新しい事を知ることが楽しい。新しい技術や話題にいち早く乗りたがる。けれど、写真に関してはあえて?自分が見出した楽しいと思ったスタイルを頑なにやり続けている。
フィルムもなくなるかもしれないし、現像代も更に高くなっていくかもしれないし、フィルムカメラも完全に淘汰される日々が訪れるかもしれない。けれども、現像するまで、スキャンするまで、現像するまでわからない状態での写真撮影はどうしても楽しいのだ。
デジタルな画を制作することは写真制作の途中でしかないと考えている。
ただ、それでも一時的に画として楽しむ術を与えてくれるスキャニングは、自分の写真制作への情熱を持続可能なものへと多分にサポートしてくれている。
フィルムという色褪せない媒体で作品を保持する。まとまった時間のできるもう少し年老いた頃に、暗室に篭ってニヤニヤしながら焼きたいという将来の想いをはせながら。
今から楽しみだ。
Maeda
*私の相棒のFlextightでスキャンした作品達が閲覧できます。もしよければ覗いてやって下さい。⇒Yohei Maeda Photography