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白黒写真が僕を好きな理由

ダイバーシティと魔女と写真 / a hair

 (”a hair” @somewhere USAYohei Maeda Photography)

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20歳の頃、本気で写真を撮ろうと飛び乗ったアメリカの長距離バス。国土面積の広いアメリカの都市間は、日本とは比較にならない位ただひたすらに遠い。都市は長距離バスで繋がれており、もちろん電車もあるが網目の細かさという意味ではバスの方が柔軟性が高かった。

yoheimaeda.hatenablog.com

バス内は、今風に言うところのダイバーシティ。日本人がダイバーシティだと連呼すればするほど残念に思えてくるほどに、アメリカはダイバーシティが当たり前に転がっている。テレビで目にするハリウッド的な小綺麗な白人はいないのだが、黒人、スパニッシュ、アジア人、また、明らかにお金なさそうな白人たち。その人種という縦軸に加えて、若者、老人という年齢という名の横軸も実に幅広いのだ。更には、貧富という名の深さ軸も加わるのがここアメリカなのだろう。この縦・横・深さの3軸をかけ合わせた”体積”こそ、”ダイバーシティのそれ”なんだろうなと実感した。

そのダイバーシティという体積をさらに広げんと、当時20歳のアジア人の若者はそこにいた。

 

とあるバス停で、完璧に真っ白な白髪ロングヘアーの老婆が乗車してきた。髪色とは対象的な全身真っ黒の服装。まさに白雪姫に毒リンゴをあげた魔女というイメージがぴったりな白人老婆。その容姿に驚いたと共に、その様をまじまじと見ないバス内のダイバーシティピーポー達。一人の乗客として受け入れ、少しも特別なリアクションをしない彼らの様子に、アメリカ的ダイバーシティの底知れぬ大きさを学んだ。

 

魔女は、ほぼだれも降りなかったバス停で降りて消えていった。荷物置きに、一本の真っ白な髪の毛を残して。

 

そのときの写真。

 

Maeda

お題「#おうち時間」を潰すために写真整理していたらでてきた思い出の写真。写真整理とその思い出をブログに綴るという、おうち時間の潰し方。オススメ。