(”deadlock” @Gifu Japan/ Yohei Maeda Photography)
あなたは凡人ですか?それとも天才ですか?
凡人vs天才論争については世の中良く耳にする気がする。今回紹介するドラマはそんな話。日本のドラマをちゃんと見たのはいつぶりだろうか。。
重版出来! 第7話「天才vs凡人…マンガの神様に愛されたい!」
ドラマ、重版出来! 第7話「天才vs凡人…マンガの神様に愛されたい!」を見た。 このドラマを見ろ、とにかく第7話を見ろ。と、薦めてもらったからだ。
第7話の主人公は黒木華演じる、女編集マン(ドラマの主人公)ではない。沼田さん(シニア漫画家アシスタント) と 高田君(新人漫画家アシスタント)の2人。先輩の沼田さんは腕も良く、長年アシスタントとして働いている。もちろん漫画家を目指しながら。一方の新人アシスタントの高田君は新人故に技術は拙く、絵も下手。しかし、彼の漫画にかける情熱、また、幼少期の壮絶な経験から、アシスタント先の先生も一目おく存在。そんな彼の作品を無我夢中で描く姿とそのセンス溢れる作品に、先輩である沼田さんは嫉妬を覚えながらも自身の漫画家人生と向き合っていくというストーリー。
キャスト:黒木華、オダギリジョー、坂口健太郎、松重豊 etc..
"重版出来(じゅうはんしゅったい) "とは
"重版出来(じゅうはんしゅったい) "とは、出版、印刷業界での業界用語で、初版の発行部数を超えて更に追加で発行する事をいうらしい。つまり、想定以上に"売れている"、好評な状態を表す言葉とのこと。
*自分も最初タイトルを読む事も、意味を理解する事もできなかったので、参考までに記載。
天才は凡人で、凡人は天才⁉︎
もしかしたら、凡人、天才は自分が決めているのかもしれない。自分には及ばない凄い人、憧れの人を天才だとタグ付ける。しかし、そのタグ付けられた天才も、普通に悩み葛藤し、自分が及ばない人を天才だとタグ付ける。自らを凡人だと思いながら。
一方、どんな分野、何をやるのによって同じ人でもそのタグの付け方は変わる。"漫画の世界"では、沼田さんは天才新人の高田君には敵わないのかもしれない。しかし、沼田さんには酒屋を継ぐ事が出来るだけの器量と愛嬌がある。これは高田君には到底持ち得ない才能だろう。つまり、自分の得意な事、得意なフィールドで勝負した方が物事上手くいくという事。
更に言うならば、その得意な事と勝負する事への"調整"の旨さこそが、世間でいう要領の良さ悪さ、器用/不器用と呼ばれるものであろう。
"人から凄いと言われるが、自分ではそんな大した事してないと思う事がヒント"というアレ
不器用な中で、要領悪い中でも頑張り抜く姿の方がよりドラマ的、映画的である。しかし、実世界においてはそんな単純な"作風", "構成"では通用しない。可能な限り得意な事で小さな成功体験を積み重ね、自分らしい生き方を見つけていく。何かを目指しながらも、その中で起こりうるハプニング的な偶然を紡ぎ集めていく。そういう非ドラマ的な生き方こそ人生だろう。"現実は小説より奇なり"とは当にその通りだ。
東京で働いていて、問題だらけの海外新規事業をリードしている。良くそんな大変な所で元気でいられるね。とか、本当良く笑ってられるねetc.. 頻繁にそう言われる。自分は何も特別頑張ってないけれど。それでも他からの評価が高い。
白黒写真も本当に面倒くさい。フィルムも高いし、持ち運びも大変。そんなフィルムを大量に購入しては、海外出張でも持っていく。少しでも時間があれば撮りたいからだ。なんでデジタルにしないんすか?僕には無理ですわーetc..頻繁にそう言われる。自分は何も頑張ってないけれど。それでも他からの驚きは多い。
こういう日々の中に、自分の"才能"、実は自分も天才だと周りからタグ付けされ得るヒントがあるのだろうなと思ったりするわけだ。
いつか、いつか、いつか。のいつかはいつ?
また、個人的にぐっときたのは、作中の先輩漫画家アシスタント、沼田さんのセリフだ。アシスタントをやめて実家へ帰る事を告げるシーンにて。
「40になりました。20から倍も経ってしまいました。倍もの時間、戦わずにきてしまいました。いつか理解してもらえる。いつか良い編集者に巡り会える。いつか認めてもらえる。そうやって、本気で戦わないまま、ここまで。」
「そのくせ同級生のサラリーマンにはいってたんですよ。えらそうに。ものづくりはこうでなくてはいけない。クリエーターたるものこうであらねば。
夢を追いかけている自分は他の人とは違う。そう思いかったんです。漫画家を目指している間は、特別でいられた。特別な人間でいたかったんです。」
若さという無鉄砲さ、勢いは強い。しかし、誰しもその"勢いの次"のステージへと足を踏み入れる。決断してもしなくても、自分という相対的"位置"は刻々と変化している。時間は着実に流れており、その支流から流れて始まった旅はやがて沢となり、川となり河へ。そして海へとたどり着く。右へ迂回すべき所を見送ったり、ゆっくり流れるべき所を急いでしまったり。そうやって少しずつ大きな自分という河は出来上がっていく。いつかいつかと思いながら。
漫画家の先生: 「自分と向き合ったんだね?」
沼田さん: 「時間がかかりましたが。。」
40歳の自分は何をしてる?
先輩アシスタントの沼田さんは40歳にして自分に向き合い、漫画家を諦め実家の酒屋を継ぐ決意をした。40歳の自分は何をしている?
大変な局地戦でも笑顔で周りを引っ張れる強さはあるぞ自分。
白黒写真はいくら高くなっても撮り続けると良さげだぞ自分。
いつか。いつか。で終わるな自分。
本日で31歳になりました。Happy birthday 自分。
Maeda