夏はあまり好きじゃなかった。今年から何故か好きだと思うようになった。ふと。
夏はもっと長いものだと思っていた。今年からとても短いものだと思うようになった。これ本当に。
海だ海だと騒ぐ周りをみても正直心踊らない自分がいるのとは対照的に、”川”、特に山間に流れる川をみるとワクワクする。子どもの頃に夏休みには決まって岐阜の山間の川(マス釣場)へ行っていたからだと思う。断然、海より川派なのだ。
夏休みといえば穴場のマス釣り場
お盆前の7月最後、もしくは8月初旬頃になると、毎年連れて来てもらっていたマス釣り場があった。そのマス釣り場は、夏の間だけ老夫婦がその山の中の家に住み込み、二人で営んでいた。本当に山の中にあった、自然の川の中にあった、言葉を選ばず言えば、半分趣味的に運営されていた場所だった。自分が18歳頃まで行っていた記憶があるので、年月にすれば10年以上も前が最後の訪問となる。
今回実家に帰省した際、「もう一度行ってみよう。」という思いつきから急遽向かうことになった。当時の夏休みと同じように家族で朝から向かったのであった。
千と千尋みたいな山道を抜ける。
夏の期間だけおじさん、おばさんが住んでいた家はそこにあったが、マス釣り場は開いておらず、マスが大量にいた生け簀も空だった。おじさん、おばさんもいなかった。それもそうだろうと。父や母よりも更に一回り上の年齢だったから、今なら70歳をこえているはずだと。
マス釣りではなく、”マス捕り”という遊び方
川は昔とあまり変わらない形で、綺麗に穏やかに流れていた。本来はマス釣り場なので、”マス釣り”が正しい利用方法ではある。しかし、釣りは早々に切り上げ、直接潜って網でマスを捕まえるという”マス捕り”という新しい遊び方が私たちは好きだった。自然の川ではあるものの、おじさんが丁寧に手入れをしており、また、程よい大きさ毎に区切られた川の大きさがマス捕りには最高なのだ。(大きすぎたり、深すぎるとやはり魚が強い。狭すぎても簡単で面白く無い。本当に程よい空間が”マス捕り”には重要。魚と人間の駆け引きが最高に面白くなるからだ。経験者だから分かる。)
今から思うと釣り場で潜らせてくれていたおじさん、おばさんは相当寛大だったなと思う。いつもニコニコしながら見ていてくれた記憶しかない。
念のため、小中学生の時の釣り道具を引っ張りだして、持参してきてみた。行く途中で簡単な仕掛けと餌も購入して、釣りもした。ヤマメとか、よくわからない魚とか釣れた。こちらも楽しかった。
写真も撮った。
あの頃と同じように、兄弟(おっさん達)でも一緒に潜った。
当時のように管理されてないから、あの時かさ増しで足されていたニジマスはいなかったけれど、当時食べることができたおばさんの作るうどんもなかったけれど、当時と変わらない夏休みはそこにはあった。