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白黒写真が僕を好きな理由

高くて不便で楽しい白黒フィルム写真のススメ / kage

 (”kage” @Somewhere USAYohei Maeda Photography)

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写真フィルムがとにかく高い。どんどん高くなっている。フィルムも値上がり、現像代も値上がり。。白黒写真フィルムで撮り続けている自分にとっては非常に死活問題である。

1個900円(900円/36枚=1シャッター25円)近くする写真フィルム

ビックカメラの写真フィルムの棚。PRESTO400,TRI-X400,TMAX400を利用している。

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銘柄には個人的には特別なこだわりはない。が、ISO400にはこだわっている。100だと夕方以降&室内だとつらいから。また、シャッターチャンスというのは突然やってきて、複数枚連写する事もある。そのため、出来る限り枚数の多い36枚撮りを利用している。だから、常にISO400、36枚を選んでいる。日本だと、富士フィルムのPRESTO400が他の海外系メーカーのフィルムよりも安かったので、長らく愛用していたが今では販売終了となった。。現在はKodakのTRI-X、TMAXを利用している。400TMAX x 10個 = 8280円。高い。

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フィルムだけでなく、現像代も着実に値上がり傾向。まだ現像所が対応してくれているだけ幸せなのかもしれないが、フィルム写真を楽しむ人にとって、物理的に楽しみ続ける事が困難な時代はそう遠くない未来にやってくるのかもしれない。TMAX(アートラボ:810円(税込)  /フォトラボオクダ:777円(税込) /堀内カラー:972円(税込)  。こちらも高い。 

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写真フィルムを格安で購入するためにしている工夫 

私の場合は海外サイト(ebay)で期限切れ間近のフィルムを大量購入することで、1個あたりのコストを抑たりしている。直前でフィルムが必要になり、結局ビックカメラで購入する場合はあるものの、消費の多い旅行前等には予めまとめて購入する。ある程度事前に計画的に購入しておかないとすぐには手に入らないので注意。(アメリカから購入することが多く、シッピングに多少時間がかかるため。) クオリティは大丈夫なの?騙されない?と声が聞こえてきそうだが、過去30回以上はEbay経由でフィルム購入した経験からすると、至って問題ない。
 
"TMAX 35mm 400"で検索してみた結果。

www.ebay.com

 

アクセスしたタイミングにもよるが、今回出品されていた中だと、TMAX400 x10個=5555円というものがあったりする。消費期限(9/2017)に関しても十分時間もある(現在:8/2016)。

上記で記したように、普通にビックカメラで同じ商品(TMAX400 x10個=8280円)だから、かなりの節約できる計算になる。もしも大量にフィルムを消費する予定の方がいらっしゃれば一度お試しあれ。

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高くて不便で楽しいフィルム写真

今後もフィルムで白黒写真を撮影していこうと思っている。が、もうちょっと安価にフィルム写真を楽しむ方法はないだろうか?他にも皆さんが工夫されている安価にフィルム写真を楽しむための工夫があれば、教えて下さい。
 
良く音楽業界のレコードと例えられることもあるけど、私はやっぱりシャッターを切った瞬間の興奮・現像後に確認する興奮・実際に焼き上がってきた時の興奮という複数回の興奮を味わえるフィルム写真という不便さが好だったりする。
 
前田

決めること。断つこと。/ Yuske&Kunie

  (”Yuske&Kunie” @Gifu JapanYohei Maeda Photography)

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人が息を引きとる瞬間に立ち会ったことはあるだろうか?

もっというと、人の人生における最後の一呼吸を見たことがあるだろうか?

 

私はある。

 

今年の2月に祖母が亡くなった。大学進学までずっと一緒に住んでいた祖母だった。その祖母の最後の一息を私は家族の誰よりも一番近くで居合わせた。真隣で私が見つめている最中に祖母は逝った。 

最後の一息。1人の人生の最後の瞬間に想う

東京に住む私は、母からのメールで岐阜へ戻った。認知症を患っており、数年前から介護施設で生活をしていた祖母だったが、一週間程前からいよいよ体調が悪くて飯も喉を通らない状態との事だった。医者からは、先は短く数日から数週間だろうと。

 

母から連絡で、土曜日の夕方に実家に戻った。ちょうど父と兄は祖母のいる施設にいて、母は家で夕飯の支度をしていた。私が実家に着くと、兄と父は一旦帰宅し、今度は私と父が祖母の元へ戻った。弟は岐阜で仕事をしているため、兄と私の交代の際にも祖母のもとで待機していた。私が祖母の部屋に着くと、意識も無く、息をしているだけの祖母の姿がそこにはあった。私が近づき、「おばあちゃん。」と、約30年間呼んできたそれと同じように声をかけても、返答はなかった。認知症になっても、癌が見つかっても、食だけは太く、とにかくご飯をよく食べていたおばあちゃん。施設に入所してからむしろ太ったんじゃないかという位だったが、そこにいた祖母は明らかに痩せてた。いよいよその時が近いんだなと瞬時に悟った。祖母のベッドの脇でじっと祖母を見つめながら、そして、最後の写真と確信して、持ってきたフィルムをカメラに入れ写真を撮りながら話かけ続けていた。いろんな角度から写真を撮った。不謹慎だとは思わなかった。今まで撮り続けたように、今までこの日が来る事を恐れるように撮り続けたのと同じように、シャッターを切った。

数十枚の写真を撮り、ベッドの横の椅子に腰かけ、祖母の枕元で顔を真横から眺めていた。祖母の顔の向こうには、今晩は祖母の部屋で一緒に泊まるために施設の人と調整している父、その横で話を聞いている弟。一定のリズムで呼吸をする祖母の呼吸が少しずつ長くなっている、そんな気がした。錯覚かと思い始めた瞬間、明らかに長い一呼吸があった。そして一瞬苦しそうに表情をしかめたかと思うと、すーっと穏やかな顔に戻った。一つ違ったの事といえば、その後呼吸をすることは二度となかったという事だけだろう。「おばあちゃん!」の私の声に父と弟も交じり、一緒に呼びかけ続けた。私と父と弟の呼びかけに応じることなく、施設の方と、医者がかけつけ、死亡診断が下った。

真横で、最後の呼吸をみて、最後の一瞬の苦しそうな顔を目撃して、その後の安らかな顔まで見とった。祖母の、1人の人の本当に最後一呼吸、人生の最後の瞬間を見た。 

決めること。断つこと。

世の中でもっとも価値あるものとはなんだろう?

お金?家?家族?友人?etc.. 色々な答えが返ってきそうだ。

 

結局“時間“なんだと私は思う。

人は“時間”に価値を見出さない。当たり前にあり過ぎて“見出だせない”。生まれた時に既にあって、幸せなときも辛い時も均等のスピードで流れ続けているもの。働いている時も、寝ている時も。最後の一息を吸うその時までずっと当たり前にあるもの。

 

もしも“時間”が最も大事なものであるという事実に気づいたならば、決めること。またそのために断つことはそれほど難しくないような気がする。やりたくないこと、つまらないこと、自分の意思にそぐわない事に費やす時間のもったいなさを憂うだろう。時間に価値を見出すことは、決めること、断つことを後押しする。決めたら、断ったら、あとは全力で実行する。

 

今回の出張で気づいた、今の自分にかけていることをメモがてら記載しておこうと思う。

 

決断しよう。

 

Maeda

【実録メモ】インド:バンガロールの空港でArrival Visaを問題なく取得出来ました(2016/7/22時点)

  (”airport” @Aichi JapanYohei Maeda Photography)

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インドは日本のパスポートを持ってしても事前Visa取得が必要だった。学生時代の世界旅行時にはスキップをしていた国だった。(トルコあたりでインド大使館へ立ち寄ったが、2週間かかると言われて断念したのが懐かしい。。)
 

2016年3月よりインドのアライバルビザ(Arrival Visa)が復活

が、調べてみるとなんと!!2016年3月にインドのアライバルビザが可能(復活)したとの事。という事でシンガポールからインド(バンガロール)へとVISAの事前取得なしで急遽行ってみることにした。現在旅をしている人、また、これからインドへの旅行検討している方達への参考になれば幸いです。実録メモ(2016年7月22日)を記載する。
 
色んなサイトで説明あるが、下記インド大使館オフィシャルサイトを確認する事が一番間違いない。心配な方は一読あれ。日本語です。

Ariival Visaに関するインド大使館のオフィシャルサイト(日本語)

 

インド:アライバルビザに必要なもの

  • パスポート(6ヶ月以上の有効期限あるもの)
  • 2000ルピー(*同程度の外貨でも可。カードも可。)
  • 申請書(*こちらは事前に印刷すること。現地でももらえるらしいがプリントアウトしておいて事前に記載する方がベター。リンクからダウンロードできます。)

インド:アライバルビザプログラム運用空港

インド:アライバルビザの有効日数

  • 一回の入国につき最長30日の滞在

 

実際にアライバルビザを取得してみた上での注意点/メモ

  • 申請書は綺麗な文字で書こう。(申請書自体は事前にプリントアウトしていたが、到着直前に飛行機の中で書いていたため、文字が汚かった。そのため、ビザ発給担当官に何度も質問されて無駄に焦った。発給担当官のおじさんが紙面をみながらその内容をパソコンに打つこむため、はっきり明記しておくとスムーズ。)
  • 時間にして、15分位(文字が綺麗であればおそらくその半分位)で済んだ。
  • 支払いは現金ではなく、カードをすすめられた。

汚い字に苦戦するインドアライバルビザ発給担当官のおじさん。

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一応事前に少しだけルピーに両替しておいたのでキャッシュももっていたが、”カードの方が良い”と上の審査官がいってきたので、カードで決済。きっかり2000ルピー。f:id:yonpei704:20160728221901j:plain
 
 
日本人よ、旅人よ、旅行者よ、インドへもっと気軽にいこう!
Bon voyage!!
 
Maeda
 
 
 

【海外出張 / 旅行者必見】今更ながらUberが便利過ぎて驚いた / composition

 (”composition” @Uyuni BoliviaYohei Maeda Photography)

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Uberというタクシー配車アプリをご存知だろうか? 現在地と目的地をセットするだけで、近くのタクシーを呼ぶことができ、何も伝えなくても目的地まで向かってくれるアプリだ。クレジットカードを事前に登録しておくため、到着した時点で自動で決済も完了する。また、行き先までの距離、値段、さらには、タクシードライバーの評価も可視化されているので、所謂海外で不透明で不安な部分を見事に解消してくれる。

 

日本だと日本のタクシー業界の規制がどうたらこうたらで、利用可能ではあるものの、登録タクシー数も少ない。便利なUber環境とは決して言えない状況だ。

しかし、海外では全く違う。。

シンガポール・インド(バンガロール) では必須

シンガポールはアプリを利用しないとラッシュ時にはタクシーを確保する事自体が困難だったり、インド(バンガロール)では、そもそも場所が分からない、英語が通じない場合が多いので、Uberは本当に重宝した。

また、シンガポールでも、インド(バンガロール)でも、土地が違えど、まったく同じ動作で5分も待たずにタクシーを確保できるという体験は見事過ぎて驚く。 

Uberを利用するメリット

  • 現金が不要
  • 細かい現金(小銭とか)が無駄に増えない
  • 言語(英語や現地の言葉)に不安があっても、目的地を伝えることができる
  • 運賃をボッタクられない 

Uberを利用する際の注意点

  • 対応していない範囲への目的地だと利用できない
  • ”乗車位置”まで正しく来ないこと多々(バンガロール)
  • Uberの地図をなぜか正しく読めない運転手いる(バンガロール)
  • 結構スマホの電源を消費する

 余談:Uberについて現地で聞いた話:インドならOla cab,シンガポールならGrabTaxiといったローカルの同様サービスがあるが、近年Uberが押し気味らしい。ドライバーの質の担保(強豪会社登録ドライバーの引き抜き、トレーニング)とアプリの地図精度 が原因だと聞いた。

2020年までに日本でもUber環境の構築を

海外行くときはUber利用しよう。日本のタクシー高いし、交通機関が充実しているからあまり出番ないかもだけど、東京オリンピック2020年までにUber環境を充実させる事で海外の人達はもっと便利になるはず。日本でもUber環境を。

 

自分が海外で不便だと思うこと、便利だと思うことは、日本へ来る海外の人達も同じこと。ぜひUber環境を整えるという”おもてなし”を。

 

Let's try Uber:)

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Maeda

ドラマ 重版出来!第7話と31歳の誕生日 / deadlock

  (”deadlock” @Gifu JapanYohei Maeda Photography)

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あなたは凡人ですか?それとも天才ですか?

 

凡人vs天才論争については世の中良く耳にする気がする。今回紹介するドラマはそんな話。日本のドラマをちゃんと見たのはいつぶりだろうか。。 

 

重版出来! 第7話「天才vs凡人…マンガの神様に愛されたい!」

ドラマ、重版出来! 第7話「天才vs凡人…マンガの神様に愛されたい!」を見た。 このドラマを見ろ、とにかく第7話を見ろ。と、薦めてもらったからだ。

 

第7話の主人公は黒木華演じる、女編集マン(ドラマの主人公)ではない。沼田さん(シニア漫画家アシスタント) と 高田君(新人漫画家アシスタント)の2人。先輩の沼田さんは腕も良く、長年アシスタントとして働いている。もちろん漫画家を目指しながら。一方の新人アシスタントの高田君は新人故に技術は拙く、絵も下手。しかし、彼の漫画にかける情熱、また、幼少期の壮絶な経験から、アシスタント先の先生も一目おく存在。そんな彼の作品を無我夢中で描く姿とそのセンス溢れる作品に、先輩である沼田さんは嫉妬を覚えながらも自身の漫画家人生と向き合っていくというストーリー。

 

キャスト:黒木華オダギリジョー、坂口健太郎、松重豊 etc..

tod.tbs.co.jp

重版出来! <第7話>|ドラマ動画無料視聴-ドラマ部屋

 

"重版出来(じゅうはんしゅったい) "とは

"重版出来(じゅうはんしゅったい) "とは、出版、印刷業界での業界用語で、初版の発行部数を超えて更に追加で発行する事をいうらしい。つまり、想定以上に"売れている"、好評な状態を表す言葉とのこと。

*自分も最初タイトルを読む事も、意味を理解する事もできなかったので、参考までに記載。

 

天才は凡人で、凡人は天才⁉︎

もしかしたら、凡人、天才は自分が決めているのかもしれない。自分には及ばない凄い人、憧れの人を天才だとタグ付ける。しかし、そのタグ付けられた天才も、普通に悩み葛藤し、自分が及ばない人を天才だとタグ付ける。自らを凡人だと思いながら。

 

一方、どんな分野、何をやるのによって同じ人でもそのタグの付け方は変わる。"漫画の世界"では、沼田さんは天才新人の高田君には敵わないのかもしれない。しかし、沼田さんには酒屋を継ぐ事が出来るだけの器量と愛嬌がある。これは高田君には到底持ち得ない才能だろう。つまり、自分の得意な事、得意なフィールドで勝負した方が物事上手くいくという事。

 

更に言うならば、その得意な事と勝負する事への"調整"の旨さこそが、世間でいう要領の良さ悪さ、器用/不器用と呼ばれるものであろう。

 

"人から凄いと言われるが、自分ではそんな大した事してないと思う事がヒント"というアレ

不器用な中で、要領悪い中でも頑張り抜く姿の方がよりドラマ的、映画的である。しかし、実世界においてはそんな単純な"作風", "構成"では通用しない。可能な限り得意な事で小さな成功体験を積み重ね、自分らしい生き方を見つけていく。何かを目指しながらも、その中で起こりうるハプニング的な偶然を紡ぎ集めていく。そういう非ドラマ的な生き方こそ人生だろう。"現実は小説より奇なり"とは当にその通りだ。

 

東京で働いていて、問題だらけの海外新規事業をリードしている。良くそんな大変な所で元気でいられるね。とか、本当良く笑ってられるねetc.. 頻繁にそう言われる。自分は何も特別頑張ってないけれど。それでも他からの評価が高い。

 

白黒写真も本当に面倒くさい。フィルムも高いし、持ち運びも大変。そんなフィルムを大量に購入しては、海外出張でも持っていく。少しでも時間があれば撮りたいからだ。なんでデジタルにしないんすか?僕には無理ですわーetc..頻繁にそう言われる。自分は何も頑張ってないけれど。それでも他からの驚きは多い。

 

こういう日々の中に、自分の"才能"、実は自分も天才だと周りからタグ付けされ得るヒントがあるのだろうなと思ったりするわけだ。


いつか、いつか、いつか。のいつかはいつ?

また、個人的にぐっときたのは、作中の先輩漫画家アシスタント、沼田さんのセリフだ。アシスタントをやめて実家へ帰る事を告げるシーンにて。

「40になりました。20から倍も経ってしまいました。倍もの時間、戦わずにきてしまいました。いつか理解してもらえる。いつか良い編集者に巡り会える。いつか認めてもらえる。そうやって、本気で戦わないまま、ここまで。」

 

 「そのくせ同級生のサラリーマンにはいってたんですよ。えらそうに。ものづくりはこうでなくてはいけない。クリエーターたるものこうであらねば。

 

夢を追いかけている自分は他の人とは違う。そう思いかったんです。漫画家を目指している間は、特別でいられた。特別な人間でいたかったんです。」

 

若さという無鉄砲さ、勢いは強い。しかし、誰しもその"勢いの次"のステージへと足を踏み入れる。決断してもしなくても、自分という相対的"位置"は刻々と変化している。時間は着実に流れており、その支流から流れて始まった旅はやがて沢となり、川となり河へ。そして海へとたどり着く。右へ迂回すべき所を見送ったり、ゆっくり流れるべき所を急いでしまったり。そうやって少しずつ大きな自分という河は出来上がっていく。いつかいつかと思いながら。

 

漫画家の先生: 「自分と向き合ったんだね?」

沼田さん: 「時間がかかりましたが。。」

 

40歳の自分は何をしてる?

先輩アシスタントの沼田さんは40歳にして自分に向き合い、漫画家を諦め実家の酒屋を継ぐ決意をした。40歳の自分は何をしている?

 

大変な局地戦でも笑顔で周りを引っ張れる強さはあるぞ自分。

白黒写真はいくら高くなっても撮り続けると良さげだぞ自分。

いつか。いつか。で終わるな自分。

 

本日で31歳になりました。Happy birthday 自分。

 

Maeda

NewYorkの"記録家"、ビル・カニンガムの笑顔よ永遠に / a man

 (”a man” @New York USAYohei Maeda Photography)

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 以前ブログに書いたビル・カニンガムさんが87歳で亡くなったらしい。

 

ビル・カニンガムさんの名言

「私は仕事をしているんじゃない。ただ毎日を楽しんでいるだけ」
「金は最も安っぽく、自由は最も高価」
「写真家じゃない。名乗ったら詐欺と言われるよ。ただ見たものを撮り、記録しているだけだ」
「大女優を撮らない。大バカと言われようが、撮るかどうかはファッション次第だ。」
 

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映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』公式サイト

 

ビル・カニンガムさんの笑顔よ永遠に!

写真というか生き様というか、あの屈託ない笑顔が素敵すぎた。

写真が好きな人も、そうでない人も何故か元気がでる映画。

映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』をまだ観てない方はぜひ。

www.youtube.com

(*ちなみに、この映画の制作期間は10年。しかしうち8年は、ビルを説得するのにかかった時間とのこと。残りの2年で撮影と編集がおこなわれた。)

  
“We all get dressed for Bill.” by Anna Wintour .
 
ご冥福をお祈りします。
 
Maeda

全編白黒で撮影された映画”ペーパー・ムーン”という誕生日プレゼントを送るセンスとその感想。/ women

 (”women” @Nice FranceYohei Maeda Photography )

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30歳にもなるが、自分には毎年誕生日に誕生日プレゼントを送りあう友人がいる。もちろん男だ。同級生の男だ。

 

彼とは小学校1年生の頃からの付き合い。小、中学校までは同じ学校。高校以降は異なる進路を歩んでいる。大学で私が海外にいる際ですらも、Skypeで色んな話をしたものだ。社会人になって、お互い東京に住んでいた時も、また、その後彼が実家へ戻り岐阜-東京と物理的に離れていてもその関係は続いている。不思議な縁である。

 

スタドバイミー風に言うならば、”私は自分が12歳の時に持った友人に勝る友人を持ったことがない。” 的な存在なんだろう。実際は、12歳ではなく6歳だけれども。

そんな彼から送られてきた映画が”ペーパー・ムーン

ペーパー・ムーンは1973年制作の映画。母親を亡くした少女と男の物語。実の親子が演じているという、なんとも親子冥利に尽きる映画だと勝手ながら思う。

movies.yahoo.co.jp

当時としては、カラー映画を撮影できる技術環境下。その中でも敢えて”白黒”という表現を選択して撮影された白黒映画。撮影には、赤色フィルターを使用して、白い部分を特に強調したコントラスト強めの仕上がりとなっている。赤色フィルターは同じ色が際立ち、赤みの強い人の顔は明るくなる仕組みだ。つまり白さが引き立つ。逆に背景に広がる青空は暗くなり黒色に近くなる。

”被写体深度の深さ”という表現とその意図

また、映像をみていくと気になる被写体深度。動画撮影には特別詳しいわけではないが、やはり撮影者視点からすると気になる。近くから遠くまで焦点のしっかりとあった被写体深度の深さ。その深さを利用した表現。主演が演技する奥の窓で楽しそうに写る子ども達と、その次のカットでは落ち込み気味の主演の女の子が後ろに写るシーン。これらの対比は被写体深度の深さあっての意図、表現だろう。

 

カメラを始めた頃は、被写体深度浅めの対象物のみにフォーカスした、あの”カメラ的”な視点が好きだった。写真撮ってるぜ的な。けれど、写真を撮れば撮るほど、シャッターをきろうとすればするほど、四角い枠に何を詰めるのか、どう並べるのか、いや、そんな事よりも、あの枠でどう世間様を切り取ることができるのかという大喜利めいたことに楽しさを見出してきたように思う。

 

マニュアルのカメラを使うから、当然絞りも意図的に調整しながら一枚ずつ撮影している。自分はF16〜からそれ以上を選択する場合がやはり多い。実際自分の作品を見返しても、深度深めの作品が中心だ。 

 

被写体深度という至極基本的で、当たり前のツールの存在感を思い出させてくれる、そんな映画だ。

白黒の映像をあえて選択した理由

また、そんな事を突き詰めていると、結局カラーでもなく、デジタルでもなく、写真を始めた時と変わらない、白黒フィルム写真から離れられなくなっていった。カラーだと、要素が多すぎて自分には扱いきれない。デジタルでも次から次へと新しい、クオリティーの良いものがでてきて、過去の質が残念なように勝手に感じる。ならば潔く、撮りたいものだけ、その”大喜利”に最大限集中、注力できる方法を選択している。と、そんな感情だ。

このDVDの中には、作成秘話も収録されており、その中で監督がこの白黒をあえて選択した理由についても語っていた。

 

白黒画像が”俳優の親友”と言われるのは、表現力が増して見えるからだ

 

1935年といえば不況のさなかだ。恐慌の世界のイメージは白と黒なのに主役の二人は金髪に青い目だ。子どもつぶらな瞳も合わないから白黒の映像にした

 

この映画の撮影で目標にしたのは1930〜40年代の古典的な白黒映画だ。

テクノロジーへのアンチテーゼではないが、撮影という本質は今も昔も未来も変わらない。はず。

道具としての進化を拒む必要もなく、実際「写真はテクノロジーだ!」と言い切っていた学生時代にお世話になった写真家の言葉は今でも忘れない。とはいえ、何をどのタイミングでどれくらいの深さで留めるのかという一番基本の基本(イメージとしては2次元でなはなく、3次元の箱です。縦、横、深さ。あっ、あとタイミングという時間軸を入れれば4次元か。)を使ってどう出会った空間を収めるかという大喜利こそが、撮影という行為の本質の本質だと思うわけだ。もちろん、色だ光だあるのは分かるが、それらのより前にある要素という意味で。技術の進歩や、その発展に乗らないわけではないが、そういった撮影自体の本質に迫る作品にこだわりたいし、それに近づける技術を自身で選択したいと思う。流行り廃りに踊らされることなく。

角を曲がれば空には虹が♪

そんな事を知ってか知らずか、”なんかお前の写真と同じ匂いがしたから。”という理由でこの作品を送ってくるあたり、6歳からの友人的発想だと思わざるを得なかった。素晴らしき誕生日プレゼントをありがとう。

 

Just around the corner, there’s a rainbow in the sky♪

角を曲がれば空には虹が♪

 

映画内で親子が口ずさむこの詩がなんとも言えないなと、反芻しながらブログを更新する雨まじりな土曜の朝よ。

 

Maeda