TWO BOOKS

白黒写真が僕を好きな理由

風をあつめた幸せな結末が素晴らしい / cusco3

(”cusco3” @Cusco PeruYohei Maeda Photography)

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とにもかくにも、この動画の面白さよ。

グループ・サウンズの曲が好きでなかった。フォークは悪く言うとリズムがつまんない。当時の流行り、イケているとされていたものを否定して新しい事へ挑戦した。日本語とロックサウンドを融合させる試みに挑戦した。そんなはっぴいえんどの動画だ。

www.youtube.com

 

”米国のラジオ音楽をきける環境で育った。聞いて育った人は皆ミュージシャンになるんですよ”

”バッファーロースプリング・フィールドが分かった。”

”音をどうやってつくるか、実はしらなかった。ただ、レコードをいっぱい聞いて育ってきた。”

”研究してた。世界に通用するかどうか、そんな事は考えずに、とにかく研究してた。日本語のもつ価値、意味を。すこしずつ試行錯誤していくなかでみえてきたのが風街ろまん。”

はいからはくち

”はいからはくち”は、ライブでかならず演奏する代表曲の一曲。すもうの太鼓から始まる一曲。日本の文化的背景を覚悟して聴けといわんばかりの一曲。

「ハイカラ イズ ビューティフル」で始まる曲だが、そもそも”はいからはくち”とは2つの意味をもたせた造語とのこと。1.ハイカラな白痴(海外のものをばかりとりいれんとする自虐的な批判)。そして、2.肺から吐く血(すごく苦しい ぼくは肺から血を吐くくらい苦しい思い出詞を書いている)という意味あいをもたせた言葉とのことだ。面白いなー。

風街の在り処

風をあつめての歌詞。

”説明なんかいらなかった。同じ風景をみていたので。東京の風がふいている世界観。”

”そこには少年時代の原風景がえがかれている。子どもたちが遊んでいた無くなる前の広場はどこにいったかというと、子どもの記憶の中に残っている。その記憶の街をパノラマのように集めたら、一つの架空の街ができあがる。それが風街。”

 ”まず路面電車がなくなった。赤坂見附の路線の複雑さ。その景色はもうない。”

”道路や人の繋がりを変えた。クラス会もなくなった。心の何割かを喪失した。その頃の東京が好きだった。風が運んでくるかおりが。”

 

作詞をした松本さんの生家や友達の家は、オリンピックで立ち退きになった。松本の路面電車への想いは、アルバムジャケットに描かれた路面電車のジャケットにも色濃くでている。都電の画を表紙にしたい、という強い願いを押し通して、都電の画が描かれた内ジャケットに仕上がっている。

日本語の歌詞で全世界に通用すると思うか?

1971年11月20日に発表。ミリオンはおろか、1万枚も売れなかった。

その後、細野さんのYMOや大滝さんのA LONG VACATIONが売れて、はっぴいえんどが再注目され始めた。最終的には、映画ロスト・イン・トランスレーションの曲として使われる事で、世界中へ広まった。日本語のままそれを歌う外国の人がYoutubeで登場し始めた。

”ロスとかNYでアメリカ人の若いのが海外の人が風をあつめてを日本語でうたってくれるんだ。”

”英語でつくってたら、こんなグレードの高いものはできなかっただろうな。"

”日本語でやるかと細野さんと論争していた時に、じゃあ日本語の歌詞で全世界に通用すると思うか? ある確率もある、それは否定できない。っていった。どんな小さな確率でも追求しておくと、あとで夢がかなうということはあるかもしれない。 ” 

それでぼくも風をあつめて

”この当時で8チャンネルのテープレコーダーしかなかった。今マルチも残ってる。じゃあミックスできるじゃないとかと思うよね。ただ、全然ミックスする必要はない。やり直す必要はまったくないな。”

”学校の休み時間になると、校庭にでるでしょ。一緒に集まって遊ぶ時もあるときも、遊ばない時もあるでしょ。それに似たようなものかと思ったときがある。”

”答えはない。いまだに色々はっぴいえんどについてきいてくるでしょ。それが答えっていうか。当時苦労して背伸びしてまでもとにかくいい音楽をつくりたいというのに一生懸命だった。”

 

自分も持っているが、リアルタイムでない自分たち世代や、さらに若い世代も持つべき一枚だと思う。アップルミュージックとかで聴けません。

アップルミュージックで聴くならばこちらをどうぞ。

素晴らしい作品は素晴らしい。

良いものには確かにサムシングエルス(他の何か)があるんだと思う。音楽も写真もなんでもそう。


Maeda  

人生の喫茶店 / sea bathing

(”sea bathing” @Cebu PhillipinesYohei Maeda Photography)

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奇跡のような喫茶店。

人生の面白さがふんだんに詰まった喫茶店を知っている。

 

もともと山奥で宿を旦那さんと一緒に営んでいた。その宿を受渡して始めたのがこの喫茶店だ。旦那さんは数年前になくなり、今は奥様一人で切り盛りしている。

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店主奥様の手づくりのケーキ。

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ハイセンスな欧米とアジアの調度品達

宿経営する20余年、ご主人が西洋から買い付けたカップアンドソーサーの数々。当時宿に出入りしていた芸術家の作品達が並んでいる。アメリカから取り寄せたステンドグラスも当たり前のように存在している。と思えば、座ってる椅子やテーブルは香港で作ってもらった家具達であり、建物も地元の建築家と香港で活躍するアメリカ人デザイナーが設計したものらしい。

西洋の洗練された風合いと、アジアの落ち着いた色味。音色は違えど、どちらも成熟された美しさと言う名の”品”をまとっており、それらが一つの空間でおりなすセンスという名の品は唯一無二な空気感を漂わせる。

 

ビートルズが描かれたwedgewood の限定カップアンドソーサーでコーヒーがでてきた。「若いから楽しいでしょ」と。訪れる度に違う器が出てくる。

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脱サラから山奥での宿経営へ

オーナーの旦那さんは45歳の時に脱サラをして、山奥にペンション経営へと舵をきった。当時誰も知らないような場所だったが、地元の名士から「良い土地あるよ。」との話をもらい、その勢いそのままに宿を作って経営し始めた。

温泉が流れでる川があり、湯量は豊富な自然あふれる場所。温泉流れる川につかって夜空を眺めると、そこには今にもこぼれてこないかといわんばかりの大量の星があったと。泊まりに来るお客さんを連れてはそんな秘密の場所へ行ったりしたらしい。

 

手探り多き宿の立ち上げだったものの、料理も運営も夫婦それぞれ気持ちよく努力する事で多くの常連が通い始める事となる。東京、大阪の超大手企業の重役家族がお忍びで。はたまた、様々な芸術家が創作意欲湧く”ねぐら”として長期滞在する宿となっていった。岐阜公園内に記念美術館がある加藤東一先生もその一人だったらしい。また、ガラス工芸をつくる小谷真三先生もこの場所が好きでガラス工房をとなりに作るほどのお気に入りだったらしい。

そんな当時訪れてきていた芸術家達の作品も店内を彩っているのだ。

 

加藤東一先生の絵画。

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小谷真三先生の作品。

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喫茶店建設時、アメリカで骨董商をしてる友人から素敵なステンドグラスがあると連絡がくる。そのステンドグラスを設えるためにと、窓も完成させずに待った。ステンドグラスと一緒にコンテナで届いた西洋の品物達。店先のランプと鉢植えもその一つとして今も現役で活躍中だ。

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宿経営から地元で喫茶店をつくることに

宿経営がうまくいっている最中、またまた突如として地元の町へと夫婦で帰ってくる決断をする。元気なうちに引き継ぐべきだとのご主人独断の決断だったとのこと。宿は当時手伝ってくれていた若者へ引き継いだ。ご主人が72歳の頃だった。

 

「年齢が一回り下の奥さんが自分が居なくなっても楽しめる喫茶店でもあればいいんじゃないか。」くらいの話から、都会すぎず、自然の綺麗な静かな場所を不動産屋さんに探してもらう。

目の前に咲く桜並木が決めてだったとのこと。店舗は地元の建築家にデザインしてもらいつつも、香港在住の有名アメリカ人デザイナーに監修してもらった。良きものへせんとのこだわりから、当初予定してなかった部屋や階段が追加され、あれよあれよと想定を遥かに超えた大きなお家が出来上がっていった。 

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人生の喫茶店、欧亜 

アジアから調達した家具達と、欧米の調度品で飾られた店。欧亜。(名前も秀逸すぎる。)夫との思い出という名のプライスレスな存在なのだ。”良いもの”とは人の生きざまが寄り添っているんだなと改めて感じる、そんな空間だ。

奥様の、奥様とご主人の生き様が一つ一つに詰まった人生の喫茶店。

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Maeda

 お題「帰省」 

 

 

 

「2017年撮ってよかったもの」を書く / Hello Goodbye

(”Hello Goodbye” @Cebu Phillipines Yohei Maeda Photography)

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フィリピンのAirbnbで借りた一軒家のシャワー室。見上げた2つの窓から見えた異なる空。左はガラス張りで、右は網のかかった窓。同じ空でも全く異なる対象的な光の差し込み具合を見た瞬間、白黒フィルターのかかった自分の目を通して綺麗な対象的な風景を視た。同じ空、同じ光、同じものでも見方一つで世界は変わる。

 

 (”Mr.-Alexelis4” @Cebu Phillipines Yohei Maeda Photography)

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大人と子どもの境目は分からない。日本では20歳を成人といい、アメリカでは18歳が成人認定だ。何処かの部族ならば更に早い。国や属する団体で大人になるタイミングは変わる。50歳間近の友人のAndrewさん。全てから解き放たれたように海上に浮かぶその様は、まさに子供そのものだった。そんな彼は今年会社を去り、新たな職場へ旅だった。Good Luck.

 

 (”politicians @Cebu Phillipines Yohei Maeda Photography)

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政治家のポスターは万国共通で嘘くさいくらいの満面の笑みのポスターだ。笑顔が悪いわけではない。ただし、その奥にある本物をちゃんと見極めねばならない。良いものも悪いもの沢山ある世の中、騙されるなよ。審美眼を持て。

ウーマン村本「発言は正義、沈黙は悪」時事ネタ漫才や冠番組降板の真相を大演説|ウーマンラッシュアワー村本大輔の土曜The NIGHT #73|AbemaSPECIAL【AbemaTV】 - YouTube
 

 (”2017 @Gifu Japan Yohei Maeda Photography)

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2017年、父親が癌だと宣告された。ここ数年、「健康診断を両親に行くべきだ。行かせるから。贈るから。」と言い続けてたのに、実行できてなかった自分を悔やむ。癌だからすぐに命を落とすわけでは決して無い。癌と共に生きる時代なのだ。とはいえ、早く判明していればそれに越したことはない。よく祖父母が座っていた実家の家先の椅子に腰掛ける父を撮る。

がんを告知されたら読む本―専門医が、がん患者にこれだけは言っておきたい“がん"の話

 

 (”2016 in 2017 @Tokyo Japan Yohei Maeda Photography)

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2017年に街角でみつけた2016。2016”年”を意味してないかもしれないが、おそらくは2016年のことだろう。時は流れている。これを書いているこの瞬間にも”今”は、”さっき”になり、”昨日”となり、”2017年”となる。2017年も早かったけれど、振り返ると沢山の変化があった。

 

Goodbye2017年、Hello2018年。

www.youtube.com

 

Maeda 

お題「2017年を振り返る」

Imacon Hasselblad Flextightでフィルム写真をスキャンする休日 / afternoon nap

(”afternoon nap” @Tokyo Japan Yohei Maeda Photography)

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フィルム写真をネガスキャナーでデジタル化する。なんて面倒な作業だ。

時代錯誤な方法だとは自負している。お金も時間もかかる作業であり、まったくオススメしているわけでもない。それでも、この溜まってきた写真フィルムをせっせと画として生み出す作業は楽しいのだ。

 

私の場合は、作品制作を以下のフローで楽しんでいる(楽しむ計画だ)。

  1. 写真を撮りためる。
  2. ある程度フィルムが溜まったら現像へ依頼する。
  3. フィルムがあがってきたら、そのフィルムをみながらデジタル化する。
  4. そのネガの塊をもって暗室へこもる(将来のお楽しみ)
  5. 集大成の写真集を制作する(将来のお楽しみ)
  6. 個展を開催する(将来のお楽しみ)

今回は、その中での”3.フィルムがあがってきたら、そのフィルムをみながらデジタル化する。” についてのお話だ。

Flextightという私の相棒ネガスキャナー

でかい。

そう、こいつは無駄に大きくて、無骨だ。私の写真活動に欠かせないFlextightとの出会いは、自分がアメリカにいた大学時代にさかのぼる。自分が写真に没頭しまくっていた学生時代は、まさにデジタル写真が台頭し、学生でも基本デジタルカメラでデジタル出力した写真を制作していた。

フィルムを使って作品を作るのは時間もお金もかかる。技術の進化が追いつき、デジタル写真のクオリティも良くなっていた。デジタルな技術を習得した方が将来の仕事、スキルにも繋がりやすかった。皆こぞってデジタルラボでデジタルな作業をこなす中。デジタルラボの片隅にあったこの無骨な写真フィルムスキャナーに恋をした日本人男子が居たのだった。

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高精細フィルムスキャナー、Imacon Hasselblad Flextight : Flextight Precision/Precision II

すでに廃版の代物だ。

www.nationalphoto.co.jp

大学を卒業し、社会人になって一番最初に購入すると決めてたこのスキャナーは、北欧の写真家から譲ってもらったものだ。ネットで調べ、状態が最高で、かつ、安く購入できるものを見つけた。(とはいえ、相当な額だった。カメラなんて比ではないw)

個人輸入したものの、当時のマックですら接続できず、こいつ専用iMac秋葉原で見つけて連れて帰ってきた。この個性的な相棒は、自らの相棒すらも当然のようにより好みする。

それでも良き決断をしたと思っている。なぜならば、今なおこのやんちゃな相棒はしっかり仕事をし続けてくれるからだ。 

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撮りためたフィルムと戯れる午後

時間を作ってゆっくりじっくりスキャンをするたまの休日は最高だ。忙しく動きまわる平日とは意図的に真逆の時間を過ごす。大きな機械にゆっくりと取り込まれていくフィルムと音。時間を更にゆっくりさせる。

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大事なのは変わることと変わらないこと

なんかの歌詞だったような気がする。

自分は変化が好きだ。新しい事を知ることが楽しい。新しい技術や話題にいち早く乗りたがる。けれど、写真に関してはあえて?自分が見出した楽しいと思ったスタイルを頑なにやり続けている。

フィルムもなくなるかもしれないし、現像代も更に高くなっていくかもしれないし、フィルムカメラも完全に淘汰される日々が訪れるかもしれない。けれども、現像するまで、スキャンするまで、現像するまでわからない状態での写真撮影はどうしても楽しいのだ。

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デジタルな画を制作することは写真制作の途中でしかないと考えている。

ただ、それでも一時的に画として楽しむ術を与えてくれるスキャニングは、自分の写真制作への情熱を持続可能なものへと多分にサポートしてくれている。

 

フィルムという色褪せない媒体で作品を保持する。まとまった時間のできるもう少し年老いた頃に、暗室に篭ってニヤニヤしながら焼きたいという将来の想いをはせながら。

 

今から楽しみだ。

 

Maeda

*私の相棒のFlextightでスキャンした作品達が閲覧できます。もしよければ覗いてやって下さい。⇒Yohei Maeda Photography

"世界一美しい本をつくる男" と写真集を買う理由 / Chicago

(”picaso” @Chicago USA Yohei Maeda Photography)

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「上質な本」とはどういう本だろう?電子書籍が少しずつ幅を利かす昨今、"モノ"として本を所有する意味を考える。

昨今、モノを所有しないミニマルな生き方がクールとされつつある。実際、自分も昔に比べて物欲は減った。

本を読むことは好きだが、本を買う時にはまずKindle版の電子書籍を選択する。電子版がない場合は、「なんで電子版無いんだ!」と心の中で1人憤慨しながら、泣く泣くリアルな本を買う。持ち運びが不便だし(読みたい時読めない)、家の保管場所に困るからだ。本の中身が知りたいのであって、"モノ"として所有したい訳では全くない。つまり、書籍、本は基本買いたくない派だ。

そんなスタンスの自分でも、写真集は"モノ"として所有したいと思うのだ。そんな、本を所有するという事について考えさせられる映画を紹介しようと思う。

映画:世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅

世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅- (字幕版) G ゲレオン・ヴェツェル & ヨルグ・アドルフ を観た。

映画『世界一美しい本を作る男〜シュタイデルとの旅〜』公式サイト 

世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅- (字幕版)

世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅- (字幕版)

  • ゲレオン・ヴェツェル & ヨルグ・アドルフ
  • ドキュメンタリー

シュタイデル社 をご存知だろうか?

世界中の有名な写真家、アーティストを魅了しつづけている製本屋さんだ。シュタイデルさんが生まれ育った故郷で、こだわり抜いた本を製本し続けている。世界中の写真家から彼に製本してほしいと、彼へのオファーが殺到する。世界中から引っ張りだこにも関わらず、彼がシンプルに本作りに興味があり、素直に良い作品に仕上げたいという気持ちが良く伝わってくる。そんなシュタイデルさんの頑固さとこだわりが全編を通じて垣間見れる映画だ。

 

「本にはフォーマットがあって、良い本とはそれぞれの写真にきちんと合っている本だ。」

 

「その本に個性が感じられるか。紙の種類も本に合わせて考え、写真に合わせてインキの色選びから製本にまでこだわる。それで独創的な本が生まれるんだ。」

 

「私の作る本は工業製品ではない。作品の分身で、芸術家のアイディアを反映している。そして、そういうアイディアは確かな技術を持つプロの手で具現化される。」

写真集を買う理由

シュタイデルさんが創り出す本のように、アーティストが創り出す素晴らしい写真と、こだわりのつまった最高の製本であれば、モノとして本を購入したいと思わせてくれる。

彼の言葉にあるように、写真集という本は、単なる工業製品ではない作品の分身のように感じるから、私は写真集を買いたいと思うのだろう。

歳をとるにつれ、価値あるモノ、コト、にしかだんだんと購入意欲が湧かなくなってきた。お金を使いたくないわけではない、が、どうせ使うなら購入価値の高い商品へお金を支払いたい。

「上質な本」とは?

冒頭の質問に戻る。「上質な本」とはどういう本だろう?

 

電子書籍が少しずつ幅を利かす昨今、モノとしての本を所有する意味を考える事で、その答えが少し見える気がする。

上質な本とは、想いの入ったアーティストが産みだす作品(コンテンツ)と、その想いを汲みえる最適なフォーマットと本づくりに愛を込めれる製本屋さんでなし得るものなのだろう。そういう意味でシュタイデルさんは上質な本を作るのだろう。

私が将来出版する本も上質な本であって欲しい。。そんな事を考える映画だった。

yoheimaeda.hatenablog.com

 

 Maeda

【安藤忠雄】希望と青春と青リンゴ / selfportrait

(”selfportrait” @Long island USAYohei Maeda Photography)

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朝日で目覚めた土曜日の朝。外は快晴。

寝ぼけ眼でテレビをつける。テレビには安藤忠雄。ガンで合計5つの臓器を摘出しているらしい。胆嚢・胆管・十二指腸・膵臓脾臓、全てないのに現役バリバリに活躍している。医学界でも奇跡といわれてるらしい。希望があれば生きていられるとのこと。

http://bunshun.jp/articles/-/4495?page=1

「青春とは 前を向いて生きている状態。」

「希望があるから臓器がほとんどなくても生きてられる。」

「希望があれば老眼にならないw」

「りんごは青い方がいいと思うんですよ。人間も青い方が何も知らない状態の方がいい。自分は常に青リンゴだと思ってる。」

76歳で、自分は青リンゴだ、青春だ、希望がある。 と笑える安藤忠雄はやはりカッコ素敵だ(カッコ良くて素敵だの略)。

“人が生きる”と書いて人生。生きる時間をどう過ごすか、そのヒントに溢れてる。希望、青春 、青リンゴ。人生を満たす秘訣なのかも。

よく働きよく働き学んだ週だった。そんな週締めの朝一で、偶然目にした安藤忠雄氏のパワフルなエネルギーに癒された土曜日の朝。

 

冒頭のselfportraitは、学生時代に1年の写真旅に出かける前日にタイマー撮影したセルフポートレイトだ。バックパックに詰め込めるようにと開封した白黒フィルムの空箱の山と、奇跡のような良い作品を撮るんだという決意と共に。

 

自分もいつまでも青リンゴのようにありたい。

 

さあ、光の教会を観に行こう。

光の教会」の礼拝空間を東京で体感できる 「安藤忠雄展 挑戦」国立新美術館で開催中

http://www.christiantoday.co.jp/articles/24507/20170929/tadao-ando-exhibition.htm

 

Maeda

今週のお題「芸術の秋」

【時間を買える宿】ランプの宿(青荷温泉)へ行こう。/ night2 

(”night2” @Somewhere Yohei Maeda Photography)

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旅してますか?
 
「学生時代はしたけどね〜。」
「時間(もしくは、お金)があればね〜。
「奥さんが〜。子供が〜。
 
色んな”いいわけ”が聞こえてきそうだ。
 
以前書いたが、私が絶賛プッシュしている”金夜土日旅”で青森県青荷温泉にあるランプの宿へ行ってきた。
このランプの宿が格別に素晴らしかったので、その素晴らしさと、今後訪れるだろう人のためにコツを紹介する。

ランプの宿(青荷温泉)を本当に愉しむ4つのコツ

最初に断っておくと、とにかく何もない。静か。山奥。電気もない。ランプオンリー。もちろんテレビなんてあるわけもない。だから、何かしらのアクティビティを期待しているならば、別の選択をオススメする(あくまで個人的主観です。カップルもご家族もいらっしゃいます。)。

1. 部屋を選ぼう

宿泊できる建物は以下の4つがある。

  1. 本館
  2. ふるさと館
  3. 幻渓楼
  4. 十方堂

可能であれば、”ふるさと館”をオススメする。また、その中でも”つきかげ”(部屋名)をオススメしたい。本館からも離れ、本当にひっそりと、静かな場所だからだ。そこにあるのは部屋からみえる山肌と滝とストーブ。そして、ランプだけ。f:id:yonpei704:20161120072237j:plainf:id:yonpei704:20161119161737j:plainf:id:yonpei704:20161120072249j:plainf:id:yonpei704:20161120072353j:plainf:id:yonpei704:20161120072133j:plainf:id:yonpei704:20161120072237j:plainf:id:yonpei704:20161119161737j:plainf:id:yonpei704:20161120072249j:plainf:id:yonpei704:20161120072353j:plainf:id:yonpei704:20161120072133j:plain

2. 行く時期を選ぼう

本格的な冬が来る手前がいい。ここは青森。おそらく相当な雪が積もるはず。山の中にあるため、雪が理由で辿りつけない、予期せぬ事故にあう、なんてことも考えられなくない。冬が到来する秋口あたりが風情良くてよいだろう。紅葉シーズンなんて最高に美しいのだと思うが、個人的にはその紅葉が落ちきった落ち葉しかない荒んだタイミング。雪がちらつき始める手前あたりが、ひっそりとゆっくりと静かで好きだ。 春先もきっと素敵だと思う。が、冬の手前こそこの静けさ、寂しさ、何もなさがよりいっそう引き立つように感じる。

3. 風呂に入る時間を選ぼう

ご飯のタイミングは決まっている。一定の時間内に料理を食べに来て下さい。となっている。冒頭に旅館周辺のお話があるらしいが、敢えてそれをスキップしよう。そのご飯の時間の最初30分~1時間くらいを狙って風呂に入ろう。ほとんど誰もいなかった。そう、日本人は律儀に時間ぴったりに食堂へ出向く。断っておくが、決してルールを無視しているわけではない。あくまでその時間内に食堂に来てくださいというルールなので。

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4. 1人で行こう

海外への一人旅も多くした。海外もいい。町並み、人、文化etc.. 全てが未知で新鮮で。ありきたりだけど、自分と向き合えるのだろう。普通の週末でそれを体感できる場所が日本にもある。もっと気軽に、そして安く。海外とは違った切り口で自分の時間を確保してくれる。自分と対話できえる時間をたっぷり味わえることだろう。こんなにも夜が長く、朝が美しいと感じたのは久しぶりだった。
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時間を買うことができる宿

スマホを確認しない日はない。大人になって忙殺されている人も多いだろう。仕事、家族、人間関係等々。逃げるわけではなく、戦うために一息いれる。新卒の時のとにかく忙しい日々の最中、上司が倒れそうな同期にさらっと放った一言を今も鮮明に覚えている。
「つらくなったらば、逃げればいい。で、元気になればまたやればいい。これの繰り返しで自分が調整できるようになる。身体を壊すくらいならば、逃げる。意味ないから。」
自分も、将来は頑張る人達へこう言える上司になりたいと思ったのを強く覚えている。ストレス多き日々を頑張る世の中のお父様、お母様、若者達。日々お疲れ様です。一息入れたくなったらオススメですよ。
 
弘前市街で写真も沢山撮ったし、夜はひっそりと静かに過ごせた。良い1人旅だった。
持論ではあるが、大人とは、”お金に時間に強弱をつけて愉しめる子供” だと思っている。
 
時間がないって?じゃぁ、時間を買おう。
 
Maeda